教師の兵法　その４１
「動かす、見せる、聴かせる、を授業に取り入れる」

教師がどんなに授業で面白い話をしても、説明ばかりの授業では飽きてしまう生徒がいます。中には寝てしまう生徒もいるでしょう。

私は素晴らしい授業を実践している先輩教師から、授業で生徒を飽きさせないためには、次のような「動かす」、「見せる」、「聴かせる」という活動を授業に取り入れることが有効だと教えてもらいました。

なお、「動かす」、「見せる」、「聴かせる」をどのような順番で授業に取り入れるかは、その時の授業の内容や子どもたちの状況によります。

◯「動かす」
・授業に作業などの活動場面を入れる。
・教師が指名したら立って答えるようにする。
・ひたすら板書を書かせる。
・一緒に板書を書かせる。
・一問一答で生徒に答えさせる。
・テストをする。
・休憩を入れる。
・教師自身が動く。
など、生徒の体を動かす場面を作るそうです。教師自身が授業中動くことも有効だと言っていました。

◯「見せる」
・プレゼンテーションや映像を見せる。
・黒板に教材や絵を貼る。
・フラッシュカードを使う。
など、みんなで見る何かを提示する場面を作るということです。
手作りでもそうでないものでも視覚的に訴える場面をつくることは、集中の場づくりに有効だとのことでした。

◯「聴かせる」
・学習目標の伏線となる話をする。(これが一番理想的なのですが・・・)
・授業に関係のない話をする。
・道徳的な話をする。
・教師が今まで体験したためになる話をする。
・授業の中で音楽を活用する。
など、みんなで聞く場面を作るということは、流れを変えたり場を盛り上げたりするのに有効だとのことでした。

また「聴かせる」ことについては、「教師の兵法　その２８」でも書きましたが、教師がテンポと視線を工夫することが必要だと私は思います。もう少し詳しく言うと、教師の話を聴かせるために私が工夫したことは、

①テンポや間の取り方、②視線、③話の長さ、④オチ

の4つでした。

テンポや「間」の取り方を変えるだけで話の伝わり方は全く変わりました。大事なところは「ためてゆっくり」としたり、反対に大事なところをわざと「速くして繰り返し」たりしてみました。どちらも効果がありました。

話の長さは出来るだけ短くを心がけました。どんなに面白い話も長いと伝わりません。ですから、短い文でも伝わるような具体的な言葉を選んで話すようにしました。

「オチ」は、伝えたいことを最も印象付けるための言葉や出来事にします。普通は「オチ」から話すことを考えましたが、慣れてくると「オチ」を決めていなくても話の途中で見つけられるようになってきますので、普段から「オチ」をつけることを意識しておくことが大切です。「オチ」が見つからない時は、自分の感想でも構わないと思います。

私に教えてくれた先輩教師は、「動かす」、「見せる」、「聴かせる」の３つを授業の中に意図的にしくむことで、授業の停滞感は薄まると言っていました。「動かす」、「見せる」、「聴かせる」ということは、ほとんどの教師が授業の中で当たり前のようにやっていることかもしれません。しかし、あらためて授業の流れを見直して目的を持ってこれらの活動をしくむことで、不思議と授業に活性感が出てきたので驚いたのを覚えています。

この先輩が教えてくれたことがもうひとつあります。

最も大切なのは、教師が「楽しそうに」授業をすることだそうです。