教師の兵法　その４３
「教師は大人の見本だと考える」

私には、教師として目標にしている人がいました。小学校の担任だった先生です。

見た目はパッとしない足の短いおじさんでした。隣のクラスの先生は、若くてカッコいいお兄さんのような先生。担任発表の時は、友だちとひどくがっかりしたのを覚えています。

でも、中身は想像していたのとは全く違いました。情熱的で明るくて、何よりも私たちに対して真剣で前向きに接してくれました。イケメンだとか、アニメや映画のヒーローのようなカッコ良さではなく、人としてのカッコ良さを感じさせてくれる人でした。「こんな先生見たことない」という思いが、「こんな先生になりたい」と変わるまでに、そう長くはかかりませんでした。

その先生には、小学校を卒業してから一度もお会いする機会がなく、私が教師になったということも知りません。ましてや自分がそのきっかけを作ったなどとは、思ってもいないでしょう。でも、私はその先生の背中をずっと追い続けていました。

いつかは追い越そうとおもっていましたが、最後までその先生を追い越すことはできませんでした。その先生を想うと、教師としての自分を反省しなくてはと思うことばかりです。私の教師としての目標でした。

教師は子どもにとって、親の次に身近な大人であり、大人の見本でもあります。
学校では、子どもたちの親よりも長い時間を一緒に過ごすこともあります。
ですから教師の言葉や態度は、良くも悪くも子どもたちに大きな影響を与えます。
もしかしたら子どもたちの誰かは、すでにあなたを将来の目標としているかもしれません。

反面教師にだけはならないよう気をつけたいものです。