教師は子どもに、何かを解決するための方法を教え(指導する)、それを子どもが自分でできるようにし(支援する)、できるようになったことを実際にやらせ(任せる)、その結果をほめたり励ましたりする(評価する)ことで、子どもに自信を持たせ成長につなげる。
若い頃の私は、「指導する→評価する」という単純な方法、つまり教えたことができれば褒めできなければ注意するという方法で子どもを成長させようとしていました。
しかし、教わったことをすぐにできる子どもは少ないので、この方法だとできない子どもは注意されることが多くなり、失敗を恐れるようになってしまうようでした。
そのような時は、「やればできる」などと言って頑張らせるのですが、自信がつくどころか意欲が薄くなってしまう子どももいました。
ベテランと呼ばれる年代になった私は、子どもが学校生活を通して学んだことを活用できるようになるために最も必要なのは、自信だと思うようになりました。
そのため子どもを成長させる機会では、次のような内容の段階を「指導する→支援する→任せる→評価する」という流れで、子どもに自信をつけようとしました。
(1)指導する
目的(何のために)、目標(目指す状態・状況)、方法(考え方・やり方)などをわかりやすく具体的に教えるようにします。
(2)支援する
教わったことを試す機会をつくります。この機会では教師主導で、目的、目標、方法を子どもに確認しながら取り組ませます。
できないことに対する原因の指摘や注意、マイナスの評価などは、できるだけこの段階で行うようにします。
(3)任せる
子どもがある程度自分でできるようになるまでは(1)指導すると(2)支援するを繰り返します。
ある程度できるようになったら、意図的に「任せる」機会をしくみ子どもに自分で取り組ませます。この機会をしくむことがとても重要です。
(4)評価する
学習でも学校生活における活動でも、学校で子どもに教えことについては必ず評価するべきです。教えっぱなし、やらせっぱなしでは、子どもは成長しません。
ただし任せたことを評価する時は、必ずプラスの評価をしたほうがいいです。「ここをあと少しこうすればよかった」などと言う教師がいますが余計なことです。
結果の良し悪しを評価するのではなく、任せたことについて子どもが良い結果を出したら取組過程と結果を、失敗したら取組過程を褒めるのです。失敗しても少々物足りなくても、任せた限りは我慢して手放しで褒めたほうがいいです。
任せられたことについて褒められると、必ず子どもは自信を持ちます。
教師は、支援する段階と任せる段階を区別しなければいけません。任せるといいながら口を出すというような中途半端なことをすると意味がありません。
合唱コンクールなどの取組を例にして、それぞれの段階を説明してみます。
(1)指導する
①合唱コンクールをなぜ行うのか学校としてのこの行事の目的を説明します。
②「合唱コンクールで優勝する」、「きれいな歌声を聞かせる」、「団結する」など、合唱コンクールを通してどうなりたいのかという学級としての目標を決めます。
③目標を達成するための方法を教える。
ここをきちんと教えないで、子どもにすべてやらせようとする教師が多いです。そのような教師に限って「自分で考えなさい」を連呼し、取組がうまくいかないと「うちの学級にはリーダーがいなくて・・・」などとまで言ってしまいます。これは教師の怠慢以外の何ものでもないと私は思います。
子どもの意見を聞きながら、例えば朝の会と帰りの会の両方で歌うかどちらかにする、歌詞は取組期間中いつもみんなが見える場所に貼っておく、給食の時に合唱曲を流すなど、具体的な取組方法や計画となるよう教師が中心となって子どもたちの活動にしていきます。
これを子どもに全てやらせようとすると、係になった子どもは、上手くいけばよいですが、上手くいかなかった時は二度と自分からは取り組もうとしなくなってしまいます。
(2)支援する
①学級で決めた目標を子どもたちに常に意識させるようにします。朝の会、給食、帰りの会など、様々な機会で目標につながるような話や子どもの行動などを取り上げ、目標を意識させるようにします。
例えば「合唱コンクールで優勝する」という目標を立てたとしたら、
・スポーツや各種大会における優勝した著名人の話をする
・部活動などで優勝した経験を持つ子どもから頑張ったことなどを話してもらう
・合唱コンクールの優勝に向けて努力している子どもに注目させる
など、教師主導で目標に向かう雰囲気づくりに努力します。
②教えた方法や確認した計画を実施します。この時、子どもたちがいい加減な態度で練習していたり、教えたことをやらなかったりする場合はきちんと注意します。
・ふざけている子どもがいたら、教師が注意する
・教えた方法ができていない時は、教師が注意する
・教えた方法よりも良い方法があるかどうか、教師が子どもたちに意見を聞く
・練習で上手くいかないことがあればきちんと指摘する
・上手くいかないことは、子どもにより良くするためにはどうすればよいか意見を聞き取り入れるようにする
教師は、子どもたちの練習態度や合唱のよくない部分など、悪いところはこの段階でしっかりと直すつもりで取り組みます。
悪いところを子どものリーダーに注意させたり、子ども同士で解決するのを待っていたりする教師がいますが、私はまったく意味がない指導だと思います。
リーダーとしての力がある子どもがたくさんいれば別ですが、そんなことはほとんどありません。
子どもたちの直すべきところをきちんと注意したり修正したりということを教師が行うことで、子どもたちは安心して取り組むことができるようになるのです。
(3)任せる
指導して支援した結果、子どもたちの取組がある程度整ったら任せます。この段階が長ければ長いほどよいのですが、少なくとも本番当日の一週間くらい前からは任せたいです。
・子どもたちの取組に口は出さない
・いつも「君たちなら大丈夫」と言う
・子どもたちが不安そうな時は、「君たちはどうしたい?」、「目標は何だっけ?」と問いかける
教師はよけいなことは一切言わないようにします。ひたすら我慢です。
教師が心がけるのは、子どもたちを見て、いつもうれしそうに、楽しそうにしているということです。
(4)評価する
任せたらプラスの評価しかしないようにします。マイナスの評価は支援の段階までです。
・昨日よりずっと上手になっている
・A君のがんばりはすばらしい
・とても感動した
・今が合唱コンクールなら優勝している
など、簡潔で明確に褒めます。あそこがこうだったここがこうだったなどと、色々なことを挙げてたくさん褒めるとかえって伝わりにくくなってしまいます。
本番までの一週間で(3)と(4)を繰り返す、つまり子どもたちに任せてプラスの評価をすることを繰り返すと、合唱は見違えるようになります。
ここで注意していただきたいのは、私は音楽の教師ではないので音程があっているとか歌い方がどうかなどという専門的なことはわかりません。
ですから見違えるというのは、技術的に歌が上手になったということではなく、子どもたちの歌う姿が見違えるようになったということです。
そのような子どもたちの姿は成長の証であり、教師としてとてもうれしいことです。子どもたちも、合唱コンクールの取組をとおして、学級の仲間とともに成長したという確かな自信を得たようでした。
教師が子どもに何かを学ばせたい時、「指導する→支援する→任せる→評価する」という流れを意識して取り組むと、子どもに自信が生まれます。その自信が、成長の原動力となるのです。
しかし、教わったことをすぐにできる子どもは少ないので、この方法だとできない子どもは注意されることが多くなり、失敗を恐れるようになってしまうようでした。
そのような時は、「やればできる」などと言って頑張らせるのですが、自信がつくどころか意欲が薄くなってしまう子どももいました。
ベテランと呼ばれる年代になった私は、子どもが学校生活を通して学んだことを活用できるようになるために最も必要なのは、自信だと思うようになりました。
そのため子どもを成長させる機会では、次のような内容の段階を「指導する→支援する→任せる→評価する」という流れで、子どもに自信をつけようとしました。
(1)指導する
目的(何のために)、目標(目指す状態・状況)、方法(考え方・やり方)などをわかりやすく具体的に教えるようにします。
(2)支援する
教わったことを試す機会をつくります。この機会では教師主導で、目的、目標、方法を子どもに確認しながら取り組ませます。
できないことに対する原因の指摘や注意、マイナスの評価などは、できるだけこの段階で行うようにします。
(3)任せる
子どもがある程度自分でできるようになるまでは(1)指導すると(2)支援するを繰り返します。
ある程度できるようになったら、意図的に「任せる」機会をしくみ子どもに自分で取り組ませます。この機会をしくむことがとても重要です。
(4)評価する
学習でも学校生活における活動でも、学校で子どもに教えことについては必ず評価するべきです。教えっぱなし、やらせっぱなしでは、子どもは成長しません。
ただし任せたことを評価する時は、必ずプラスの評価をしたほうがいいです。「ここをあと少しこうすればよかった」などと言う教師がいますが余計なことです。
結果の良し悪しを評価するのではなく、任せたことについて子どもが良い結果を出したら取組過程と結果を、失敗したら取組過程を褒めるのです。失敗しても少々物足りなくても、任せた限りは我慢して手放しで褒めたほうがいいです。
任せられたことについて褒められると、必ず子どもは自信を持ちます。
教師は、支援する段階と任せる段階を区別しなければいけません。任せるといいながら口を出すというような中途半端なことをすると意味がありません。
合唱コンクールなどの取組を例にして、それぞれの段階を説明してみます。
(1)指導する
①合唱コンクールをなぜ行うのか学校としてのこの行事の目的を説明します。
②「合唱コンクールで優勝する」、「きれいな歌声を聞かせる」、「団結する」など、合唱コンクールを通してどうなりたいのかという学級としての目標を決めます。
③目標を達成するための方法を教える。
ここをきちんと教えないで、子どもにすべてやらせようとする教師が多いです。そのような教師に限って「自分で考えなさい」を連呼し、取組がうまくいかないと「うちの学級にはリーダーがいなくて・・・」などとまで言ってしまいます。これは教師の怠慢以外の何ものでもないと私は思います。
子どもの意見を聞きながら、例えば朝の会と帰りの会の両方で歌うかどちらかにする、歌詞は取組期間中いつもみんなが見える場所に貼っておく、給食の時に合唱曲を流すなど、具体的な取組方法や計画となるよう教師が中心となって子どもたちの活動にしていきます。
これを子どもに全てやらせようとすると、係になった子どもは、上手くいけばよいですが、上手くいかなかった時は二度と自分からは取り組もうとしなくなってしまいます。
(2)支援する
①学級で決めた目標を子どもたちに常に意識させるようにします。朝の会、給食、帰りの会など、様々な機会で目標につながるような話や子どもの行動などを取り上げ、目標を意識させるようにします。
例えば「合唱コンクールで優勝する」という目標を立てたとしたら、
・スポーツや各種大会における優勝した著名人の話をする
・部活動などで優勝した経験を持つ子どもから頑張ったことなどを話してもらう
・合唱コンクールの優勝に向けて努力している子どもに注目させる
など、教師主導で目標に向かう雰囲気づくりに努力します。
②教えた方法や確認した計画を実施します。この時、子どもたちがいい加減な態度で練習していたり、教えたことをやらなかったりする場合はきちんと注意します。
・ふざけている子どもがいたら、教師が注意する
・教えた方法ができていない時は、教師が注意する
・教えた方法よりも良い方法があるかどうか、教師が子どもたちに意見を聞く
・練習で上手くいかないことがあればきちんと指摘する
・上手くいかないことは、子どもにより良くするためにはどうすればよいか意見を聞き取り入れるようにする
教師は、子どもたちの練習態度や合唱のよくない部分など、悪いところはこの段階でしっかりと直すつもりで取り組みます。
悪いところを子どものリーダーに注意させたり、子ども同士で解決するのを待っていたりする教師がいますが、私はまったく意味がない指導だと思います。
リーダーとしての力がある子どもがたくさんいれば別ですが、そんなことはほとんどありません。
子どもたちの直すべきところをきちんと注意したり修正したりということを教師が行うことで、子どもたちは安心して取り組むことができるようになるのです。
(3)任せる
指導して支援した結果、子どもたちの取組がある程度整ったら任せます。この段階が長ければ長いほどよいのですが、少なくとも本番当日の一週間くらい前からは任せたいです。
・子どもたちの取組に口は出さない
・いつも「君たちなら大丈夫」と言う
・子どもたちが不安そうな時は、「君たちはどうしたい?」、「目標は何だっけ?」と問いかける
教師はよけいなことは一切言わないようにします。ひたすら我慢です。
教師が心がけるのは、子どもたちを見て、いつもうれしそうに、楽しそうにしているということです。
(4)評価する
任せたらプラスの評価しかしないようにします。マイナスの評価は支援の段階までです。
・昨日よりずっと上手になっている
・A君のがんばりはすばらしい
・とても感動した
・今が合唱コンクールなら優勝している
など、簡潔で明確に褒めます。あそこがこうだったここがこうだったなどと、色々なことを挙げてたくさん褒めるとかえって伝わりにくくなってしまいます。
本番までの一週間で(3)と(4)を繰り返す、つまり子どもたちに任せてプラスの評価をすることを繰り返すと、合唱は見違えるようになります。
ここで注意していただきたいのは、私は音楽の教師ではないので音程があっているとか歌い方がどうかなどという専門的なことはわかりません。
ですから見違えるというのは、技術的に歌が上手になったということではなく、子どもたちの歌う姿が見違えるようになったということです。
そのような子どもたちの姿は成長の証であり、教師としてとてもうれしいことです。子どもたちも、合唱コンクールの取組をとおして、学級の仲間とともに成長したという確かな自信を得たようでした。
教師が子どもに何かを学ばせたい時、「指導する→支援する→任せる→評価する」という流れを意識して取り組むと、子どもに自信が生まれます。その自信が、成長の原動力となるのです。