教師の兵法　その２８
「教師が話をする時に重要なのは、テンポと視線である」

子どもたちにじっくり考えさせる授業は大切です。教師が説明しすぎてしまうと、子どもたちの思考力の向上を妨げてしまうからです。ただ教師の話も授業を楽しくするためには必要なものであることは間違いありません。授業の楽しさには、知的好奇心をくすぐられる楽しさの他に、授業の雰囲気が盛り上がることによる楽しさもあるからです。

授業の楽しさを引き出す教師のトーク力になくてはならないもののひとつは、テンポです。話が面白くなるかならないかは、テンポで決まります。マシンガンのようにしゃべったり、スロー＆クイックと変化させたり、ぴたっとやめて間をあけたりすることなどで、子どもの意識がこちらへ向いてきます。テンポについては、落語や漫才などがとても参考になります。

もうひとつ大切なのは視線です。私たちはどうしても真剣に話を聞いていたり、うなずいたりしてくれる子どもを見ながら話をしてしまいます。これは当然なことだと思いますが、気を付けないといつもそのような子どもばかりに目が行って、教室全体に目が行き届かなくなってしまうことあります。

視線を「前後・左右・上下」などと、話のテンポに合わせて子どもたちに向かって投げるようにすると、それにつられて子どもたちの視線も教師へ集まるようになります。教師が視線を投げる時に、身振りや手振りをつけたり子どもの近くまで移動したりするなど体の動きをつけると、教室全体を巻き込むような雰囲気が生まれてきます。

トークのテンポと視線によって授業が盛り上がると、教師はとても楽しくなります。楽しそうに授業をする教師の姿は、子どもたちをより一層楽しくします。