教師の兵法　その３２
「子どもに目を合わせる」

前にも書きましたが、目を見て話を聞くということは人間関係の基本です。私たちが子どもの頃は、いつも目を見て話を聞くようにとよく言われました。

残念なことにこの言葉を最近の学校では聞くことが少なくなりました。ＳＮＳが世の中のコミュニケーションの中心になってから、相手の目を見る必要が少なくなってしまったようです。

今では学校ほど目を見て話をしたり聞いたりできる場所はないかもしれません。ですから私は、授業中はもちろんのこと、子どもたちと接する時はできるだけ目を合わせるようにしました。「目は口ほどにものを言う」と昔から言われていますが、長い間の教師生活でこれは本当のことだと何回も実感しました。

例えば校内でこちらからあいさつをしても、何の反応もなくすれ違う子どもがいました。そのような子どもには、こちらからしっかりと目を合わせてあいさつをすると必ず応えてくれるようになり、最後は子どもからあいさつをしてくれるようになりました。この他にも目を合わせることを心がけることで、子どもたちとの関係がよくなったことがたくさんありました。

目を合わせることは互いの存在を認識することです。存在を認識することで相手に対する働きかけができるようになります。認識と働きかけの積み重ねが、教師と子どもとの関係をよりよくします。

私は教師としてだけではなく先生（先に生まれてきた者）として、子どもに何か働きかけるときは目を合わせることにこだわりました。コロナで顔の半分をマスクで隠す子どもが多くなった今日この頃。目を合わせることはこれまで以上に大切なことだと思います。